採用ブランディングとは|中小・個人店にこそ効く理由
採用ブランディングとは、自社の「素」を言葉にして、合う人にだけ届く状態をつくることです。採用広報・採用マーケティングとの違い、規模別に何をするか、そしてやらないほうがいいことまで、実務の観点から整理しました。
採用ブランディングという言葉は、しばしば「会社を良く見せること」と受け取られます。
逆です。
正確に伝えることで、合わない人に自分から離れてもらう活動です。この記事では、その中身と、規模別に何をするのかを整理します。
採用ブランディングとは何か
一行で言えば、こうなります。
自社がどんな場所かを正確に言葉にし、それに納得した人だけが応募する状態をつくること。
ポイントは「正確に」の部分です。良く見せるのでも、盛るのでもありません。
よくある3つの誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| かっこいい採用サイトを作ること | 器より、中身の言葉が先 |
| イメージを良く見せること | 実態を正確に伝えること |
| 応募数を増やすこと | 応募数は減ることが多い |
3つ目が最も重要です。採用ブランディングがうまくいくと、応募数は減ります。 条件だけを見て応募していた層が、事前に「合わない」と判断して離れるためです。
母集団が減ることを許容できるかどうか。ここが最初の分かれ目になります。
採用広報・採用マーケティングとの違い
言葉が乱立していて分かりにくいので、整理します。
| 用語 | 主に指す範囲 |
|---|---|
| 採用ブランディング | 何を自社の価値とするかを定める(土台) |
| 採用広報 | それを発信する活動 |
| 採用マーケティング | 応募までの導線を設計する活動 |
実務では重なります。厳密に分ける必要はありません。 ただし順番はあります。土台がないまま発信だけを始めると、書くことが尽きます。
なぜ中小・個人店にこそ効くのか
大企業のほうが有利に思えますが、この領域に限っては逆です。
1. 経営者と現場の距離が近い
判断の理由を、そのまま言葉にできます。なぜこの仕事を受けたのか、なぜあの仕事を断ったのか。意思決定の生々しさが、そのまま素材になります。
大企業では、この距離が遠くなります。
2. 言葉から角が取れない
広報部門のある会社では、文章が社内を通過するたびに調整が入ります。何度も確認を経た結果、間違いはないけれど、どこにでもある文章になります。
中小企業は、この工程を飛ばせます。荒いままの言葉を出せることが、構造上の優位です。
3. 一人の採用が、組織の方向を左右する
5名の会社に1名入れば、構成比は2割変わります。だからこそ「数」ではなく「誰か」に賭ける意味があります。
具体的に、何をするのか
規模ごとに、現実的な範囲は変わります。
| 規模 | 現実的にできること |
|---|---|
| 1〜5名 | 経営者本人がSNS・noteで発信。月2本程度。取材は不要 |
| 〜20名 | 経営者+現場メンバーの声。社員インタビューを開始 |
| 〜50名 | 発信の担当を決める。採用ページを整備し、動線を設計 |
どの規模でも共通するのは、最初に「素」を出すことです。制度や福利厚生の紹介から始めると、条件比較の土俵に戻ってしまいます。
「素」とは何か
きれいに整えた自社像ではなく、実際にそこにある空気のことです。
- 一日の実際の流れ(地味な時間も含めて)
- うまくいかなかったこと、そこから変えたこと
- どんな仕事を断っているか
- 給与や評価を、どう考えて決めているか
- なぜ、この仕事を続けているのか
SNSが効くのは、この点においてです。整えた文章より、日々の断片のほうが素が出ます。 何を書けばよいかは採用noteに何を書くかに一覧を出しました。
やらないほうがいいこと
1. 実態より良く見せる
入社前の印象と実際が違えば、早期に辞めます。採用にかけた費用と時間が消えるうえ、口コミとして残ることもあります。
盛るくらいなら、書かないほうがましです。
2. イメージ写真で埋める
笑顔で会議をしている写真、モデルのような社員写真。これらは何も伝えません。 他社のサイトにあっても違和感がないためです。
3. 抽象的な理念だけを掲げる
「挑戦」「誠実」「感謝」。言葉自体に罪はありませんが、単体では何も伝わりません。
必要なのは、その理念がどの場面で発揮されたのかという具体です。理念を具体に落とす手順は共感を生む採用ストーリーの書き方に書きました。
4. 器から作る
採用サイトを先に作っても、入れる言葉がなければ求人媒体の原稿を転記しただけになります。書き貯めてから、器を整えてください。
効果が出るまでの目安
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 〜1ヶ月 | 取材・言語化。まだ何も出ない |
| 1〜3ヶ月 | 発信を開始。反応はまばら |
| 3〜6ヶ月 | 応募者の質が変わり始める |
| 6ヶ月〜 | 記事が資産として効き始める |
求人媒体のような即効性はありません。短期の補充が必要なら、媒体と併用してください。 媒体で人が来ない構造は求人媒体にお金をかけても人が来ない理由に書いています。
発信が効き始めると、応募の時点ですでに理解している人が来ます。そこから先の見極め方はカルチャーフィット採用の進め方へ。
COCTOでできること
採用支援として、経営者・現場への取材、理念とストーリーの言語化、note・SNSの運用設計、発信の伴走までを担当しています。
求人媒体への出稿代行や、人材紹介は行っていません。 想定期間・作業に含まれるもの・含まれないものは、そのまま公開しています。
私たち自身、1947年から続くバーを営んでいます。言葉を整えすぎると人が離れることも、荒いままのほうが伝わることも、現場で確かめてきました。COCTOの考え方はこちらに書いています。
いまの発信がどう見えているかを知るところからでしたら、無料診断をご利用ください。
よくある質問
Q 採用ブランディングとは何ですか?
自社がどんな場所で、誰と、どんな考え方で働いているのかを言葉にし、それに納得した人だけが応募する状態をつくる活動です。イメージを良く見せることではありません。むしろ、合わない人が自分から離れていくよう、実際の姿を正確に伝えることが中心になります。
Q 採用広報や採用マーケティングとどう違いますか?
採用広報は情報を発信する活動、採用マーケティングは応募までの導線を設計する活動を指すことが多く、採用ブランディングはその土台にある「何を自社の価値とするか」を定める部分です。実務では重なる部分が多く、厳密に分ける必要はありません。
Q 社員数が少なくてもできますか?
できます。むしろ規模が小さいほど有利です。経営者と現場の距離が近く、判断の理由をそのまま言葉にできるためです。広報部門を持つ大企業では、社内調整を経るたびに言葉から角が取れ、どこにでもある文章に近づいていきます。
Q 費用と期間はどのくらいかかりますか?
取材と言語化に約1ヶ月、応募者の質の変化が見え始めるのは発信開始から3〜6ヶ月が目安です。費用は取材量と発信本数によって変わるため、個別のお見積もりになります。求人媒体のような即効性はないため、短期の補充が必要な場合は媒体と併用してください。
Q やってはいけないことはありますか?
実態より良く見せることです。入社前の印象と実際の職場が違えば、早期離職につながり、採用にかけた費用と時間が無駄になります。加えて、口コミとして残る場合もあります。採用ブランディングは、盛る活動ではなく、正確に伝える活動です。