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足立昌優 採用ブランディング

共感を生む採用ストーリーの書き方|理念を言葉にする手順

採用ストーリーは、作るものではなく掘り出すものです。素を引き出す質問リスト20問、出てきた話を構成に落とす型、そして「きれいに書きすぎると効かない」理由まで、1本を書き上げるまでの手順をまとめました。

「うちには、語れるようなストーリーがない」

採用の発信を始めようとして、ここで止まる会社はとても多くあります。

ストーリーは、作るものではありません。掘り出すものです。 そして掘り出す対象は、創業秘話のようなドラマではなく、日々の判断の理由です。

この記事では、素材の掘り出し方から、1本に仕上げるまでの手順を書きます。

理念だけでは、伝わらない

多くの会社が、こう書きます。

私たちは、誠実さを大切にしています。

これは何も伝えていません。 誠実さを大切にしていない、と書く会社が存在しないためです。

伝わるのは、こちらです。

見積もりを出したあとに、想定より工数がかからないことが分かりました。黙っていれば分からない差額でしたが、連絡して減額しました。その月は赤字でした。

理念は、それが表れた場面とセットになって初めて伝わります。 抽象を先に置くのではなく、具体を置いて、あとから抽象を引き出す。順番はこちらです。

素を引き出す質問リスト

自分のことは、客観視できません。当たり前だと思っている部分ほど、外から見ると価値があるためです。

だから、質問に答える形で掘り出します。誰かに聞いてもらうのが理想ですが、自問でも構いません。

経営者に聞く10問

#質問
1直近で断った仕事は何ですか。なぜ断りましたか
2いちばん損をした判断は何でしたか
3値下げを求められたとき、どうしますか
4この仕事を始めたとき、何をしたくなかったですか
5同業を見ていて、やりたくないと思うことは
6社員と意見が割れたとき、最後は何で決めますか
7給与を決めるとき、何を基準にしていますか
8事業をやめようと思ったことはありますか
9いま、できていないことは何ですか
10どんな人と働きたくないですか

現場メンバーに聞く10問

#質問
11入社して最初に驚いたことは何ですか
12前職と、いちばん違うところは
131年目にいちばん苦労したことは
14この会社の、直したほうがいいところは
15辞めようと思ったことはありますか
16それでも続けている理由は
17社長のどこが信用できますか
18逆に、どこが困りますか
19友人に勧めるとしたら、どう説明しますか
20どんな人なら合うと思いますか

答えにくい質問ほど、素材になります。 9番、14番、18番あたりで出てくる話が、たいてい一番効きます。

出てきた話を、構成に落とす

素材が集まったら、この型に流し込みます。

1. 具体的な出来事   ← 素材そのまま。飾らない
2. そのとき何を考えたか ← 判断の理由。ここが本体
3. なぜそう考えるのか  ← 一段だけ抽象度を上げる
4. だから、こういう人と ← 押しつけず、事実として置く

順番を逆にしない

多くの人が、4→3→2→1の順で書こうとします。理念から始めて、具体で補強する形です。

これは読まれません。 冒頭が抽象だと、そこで離脱するためです。

必ず1から始めてください。 「先週、こういうことがありました」で始まる文章は、続きが読まれます。

3は、一段だけ

抽象度を上げすぎないでください。

具体度
出来事見積もりの差額を返した
一段上(ここまで)黙っていれば分からない差額こそ、信用の分かれ目だと思っている
上げすぎ私たちは誠実さを大切にしています

上げすぎた瞬間に、他社と同じ文章になります。

きれいに書きすぎると、効かない

これは直感に反しますが、実務上はっきりしています。

整えるほど、求人媒体の原稿に近づきます。

  • 一文が短く整っている
  • 主語が「私たち」で統一されている
  • 否定的な要素が消えている
  • 読点の位置まで揃っている

こうした文章は、読み終えたあとに何も残りません。 引っかかりがないためです。

言い淀み、あとから思い返した違和感、まだ答えの出ていない問い。そういうものが残っている文章のほうが、人は信じます。

公開前のチェックは、1つだけ

社名を他社に置き換えても、この文章は成立しないか。

成立するなら、書き直してください。それだけで十分です。

「風通しの良い職場」「若手が活躍」「アットホームな社風」。これらが残っていれば、まだ具体が足りていません。

自分で書くか、外部に頼むか

一次情報は、必ず社内から出す必要があります。 ここは代行できません。

一方で、書く作業は外部に任せても構いません。 自分のことは客観視しにくく、当たり前だと思っている部分ほど価値に気づけないためです。

取材を受ける形にすると、言語化されていなかった部分が出てきます。「そこ、聞かれるまで意識していませんでした」という話が、たいてい一番効きます。

どこに載せるか

場所役割
note背景と理由を、まとまった長さで
SNS日々の断片。見つけてもらう入口
自社の採用ページ集約先
求人媒体の原稿ここから誘導する

日々のネタの一覧と、noteの運用の仕方は採用noteに何を書くかにまとめました。

COCTOでできること

採用支援では、この取材と言語化そのものをお引き受けしています。

上の質問リストを、こちらから伺います。出てきた話を構成に落とし、共感を生む言葉へ翻訳します。発信の継続まで伴走します。

私たち自身、1947年から続くバーを営んでいます。言葉を整えすぎると人が離れることは、店の現場でも確かめてきました。考え方はCOCTOについてに書いています。

なぜこの方法が中小企業に効くのかは採用ブランディングとはを、応募が来たあとの見極め方はカルチャーフィット採用の進め方をご覧ください。

まずは無料診断から、いまの発信の見え方をお伝えします。

よくある質問

Q 採用ストーリーとは何を書くものですか?

創業の経緯や理念そのものではなく、それが実際の判断に表れた場面を書くものです。「誠実さを大事にしています」ではなく、誠実さのために損を選んだ具体的な出来事を書きます。抽象的な理念は、具体とセットになって初めて伝わります。

Q 特別なストーリーがない会社でも書けますか?

書けます。むしろドラマチックな創業秘話は必須ではありません。必要なのは、日々の判断の理由です。どんな仕事を断ったか、意見が割れたときどう決めたか、失敗して何を変えたか。これらはどの会社にもあり、そのまま素材になります。

Q 自分で書くべきか、外部に頼むべきですか?

一次情報は必ず社内から出す必要がありますが、書く作業は外部に任せても構いません。自分のことは客観視しにくく、当たり前だと思っている部分ほど価値があることに気づけないためです。取材を受ける形にすると、言語化されていなかった部分が出てきます。

Q 文章が上手くないと効果が出ませんか?

文章力より具体性です。整った文章より、実際にあった出来事が書かれた荒い文章のほうが伝わります。きれいに整えるほど、どこにでもある求人原稿に近づきます。公開前に「社名を他社に置き換えても成立しないか」だけ確認してください。

Q 書いたストーリーは、どこに載せればよいですか?

noteや自社の採用ページが基本です。SNSでは日々の断片を出し、まとまった背景はnoteで書く、という使い分けが機能します。求人媒体の原稿からも、この記事へ誘導する動線をつくってください。

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