中小企業の採用がうまくいかない理由と解決法|数より一人
求人を出しても応募が来ない、来ても続かない。中小企業の採用が難しいのは、担当者の努力不足ではなく構造の問題です。大手と同じ土俵を降り、条件ではなく「誰と働くか」で選ばれる状態をつくるまでの地図を書きました。
求人を出しても応募が来ない。来ても、続かない。
中小企業の採用でこの状態が続いているとき、原因は担当者の努力不足ではありません。構造の問題です。
この記事では、その構造と、そこから抜け出すまでの地図を書きます。
中小企業の採用が、構造的に不利な理由
大手と同じ求人媒体に並んだ瞬間、応募者は3つの軸で比較します。
| 比較軸 | 中小企業の状況 |
|---|---|
| 知名度 | 名前を知られていない |
| 給与・待遇 | 条件だけでは並びにくい |
| 採用にかけられる時間 | 専任担当がいないことが多い |
この3つで勝負している限り、規模の差はそのまま結果に出ます。 努力で埋まる差ではありません。
そして厄介なことに、媒体は条件で比較しやすいように設計されています。 給与、休日数、勤務地。並べて比べるための枠が最初から用意されている以上、その土俵に乗った時点で、比較の軸は決まってしまいます。
予算を積んでも、解決しない
「もっと採用にお金をかければいい」
これは半分正しく、半分間違っています。予算を積めば応募数は増えます。 けれど増えるのは、条件だけを見て応募する層です。
条件で来た人は、条件で去ります。より良い条件が現れたとき、留まる理由がないためです。
採用コストは、入社までの費用だけではありません。教育にかけた時間と、辞めたあとにもう一度採用する費用まで含めて考えると、「安く採って早く辞められる」のが最も高くつきます。
勝てる土俵は「誰と働くか」
条件で勝てないなら、条件以外で選んでもらうしかありません。
そして中小企業には、大手が出しにくいものが一つあります。顔が見えることです。
- 誰が経営しているのか
- どんな判断基準で仕事を選んでいるのか
- うまくいかなかったとき、どうしたのか
- 日々、何に時間を使っているのか
これらは求人票の枠には収まりません。 だからこそ、書けば差になります。
きれいな言葉ほど、効かない
ここで多くの会社がつまずきます。「風通しの良い職場」「若手が活躍」「アットホームな社風」。
これらの言葉は、他社に置き換えてもそのまま成立します。 成立してしまう文章は、読んだ人の記憶に残りません。
必要なのは、素の部分です。かっこよく整えた自社像ではなく、実際にそこにある空気。うまくいっていないことも含めた、いまの姿。
それを見て「合わない」と思う人が離れていくのは、失敗ではありません。 むしろ、それが目的です。
媒体型と発信型、何が違うのか
| 媒体に出す | 自社で発信する | |
|---|---|---|
| 応募が来るまで | 掲載した週から | 3〜6ヶ月 |
| 応募数 | 多い | 少ない |
| 応募者の理解度 | 条件のみ | 働き方まで |
| 掲載が切れたら | 消える | 残り続ける |
| 費用の性質 | 掲載ごとの費用 | 積み上がる資産 |
発信型は、応募数が減ります。 ここを許容できるかが分かれ目です。
10人来て0人が残るより、2人来て1人が残るほうがいい。そう考えられる場合にのみ、この方法は機能します。
何から手をつけるか
順番があります。
1. 媒体は止めない
いきなり切り替えないでください。媒体は即効性があり、発信は積み上げ型です。 性質が違うので、しばらくは併用してください。
媒体で人が来ない構造については求人媒体にお金をかけても人が来ない理由に詳しく書きました。
2. 自社の言葉を貯め始める
同時に、書き始めます。何を書けばいいのかは採用noteに何を書くかにネタの一覧を出しました。
理念や創業の経緯といった「1本の物語」の作り方は共感を生む採用ストーリーの書き方にまとめています。
3. 選考のやり方を変える
発信が効き始めると、応募の時点ですでに理解している人が来ます。そうなると面接の中身が変わります。見極め方はカルチャーフィット採用の進め方へ。
4. 全体を設計として捉える
ここまでの流れをひとまとめにした考え方が、採用ブランディングです。用語の整理と規模別の進め方は採用ブランディングとはに書きました。
うまくいっている会社に、共通していること
規模も業種も違いますが、採用が回り始めた会社には共通点があります。
| 共通点 | 中身 |
|---|---|
| 経営者が自分の言葉で書いている | 代筆ではなく、判断の理由を本人が語っている |
| 都合の悪いことも出している | できていないこと、向かない人を明記している |
| 続けている | 月2本を半年。本数より継続 |
| 応募数の減少を許容している | 母集団ではなく、定着した人数で見ている |
逆に、うまくいかない会社はきれいに作り込もうとします。 立派な採用サイト、整った理念、プロが撮った写真。そこに時間をかけている間、肝心の言葉が一行も増えません。
小さいことは、不利ではありません
規模が小さいほど、経営者と現場の距離は近くなります。判断の理由をそのまま言葉にできます。
広報部門を持つ会社では、言葉が社内を通過するたびに角が取れていきます。何度も確認を経た文章は、間違いはないけれど、どこにでもある文章になります。
中小企業は、そこを飛ばせます。 これは構造上の優位です。
COCTOでできること
採用支援として、取材から言語化、note・SNSの運用設計、発信の継続までを担っています。
数を集める採用ではなく、理念に合うたった一人と確実に出会うための採用です。想定期間、作業に含まれるもの・含まれないものは、そのまま公開しています。
いまの発信がどう見えているかを知るところからでしたら、無料診断をご利用ください。
よくある質問
Q 中小企業の採用が難しいのはなぜですか?
知名度・給与条件・採用にかけられる時間の3点で、構造的に大手より不利だからです。同じ求人媒体に並んだ時点で、応募者は条件で比較します。その土俵では規模の差がそのまま結果に出ます。勝てるとすれば、条件ではなく「誰と、どんな空気の中で働くか」を示せる場合です。
Q 採用にお金をかければ解決しますか?
応募数は増えますが、合う人が増えるとは限りません。予算を積んで母集団を広げるほど、条件だけを見て応募する層の比率が上がります。中小企業の場合、母集団を減らしてでも、理念や働き方に納得した人だけが応募する状態をつくるほうが、定着率まで含めた結果は良くなります。
Q 何から手をつければよいですか?
自社の「素」を言葉にすることからです。きれいな理念ではなく、実際の一日の流れ、うまくいかなかったこと、なぜこの仕事を続けているのか。求人票に書けない部分こそが、合う人を引き寄せます。媒体を止める必要はありません。並行して自社の言葉を貯めてください。
Q 効果が出るまでどのくらいかかりますか?
発信を始めてから3〜6ヶ月が目安です。求人媒体のように掲載した週から応募が来る性質のものではありません。ただし、貯めた記事は掲載期間が切れても消えないため、続けるほど効きが積み上がります。短期の補充が必要な場合は、媒体と併用してください。
Q 社員数が少なくても採用ブランディングはできますか?
できます。むしろ規模が小さいほど有利です。経営者と現場の距離が近く、意思決定の理由や日々の判断をそのまま言葉にできるためです。広報部門を持つ大企業ほど、社内調整の過程で言葉から角が取れ、どこにでもある文章に近づいていきます。